今回は英語を学習する必要性というテーマで、よく主張される賛否のポイントを簡単にまとめつつ、それを通じてHACKengの立場も示していきたいと思います。
これらのポイントを知って「あなたが英語を学習する必要はあるのか?」「あなたは本当に英語を学習したいと思っているか?」を、よく考えましょう。
僕は言語学や文化人類学や計算機科学などの専門家ではないので、簡単に紹介するだけに留めますが、それぞれのポイントに興味を持ったら、各自、詳しく調べてみるみたいなノリを希望します。
先に言っておくと、こうした「必要性」の議論は基本、あなた自身には関係ありません。あなたが英語を学びたいと思ったら、学べばOKです。あらゆる「英語が好き」という気持ちが、一番強いですから。
うん。
ただ、1人1人のミクロな気持ちが、マクロな社会全体の出来事と繋がっているのもまた事実。それに、これらのポイントをよく理解していないから「英語ができない…」と悩んだままでいる人は多いです。「そんな悩みは無駄ですよ」という意味でも、まとめます。
はじまり
(※スマホの人は右下の「INFO」から、いつでも目次が見れます)
「英語学習の必要性はある」方向のポイント
まず、Pros方向のポイントです。(HACKengは当然「必要ある」から主張したいので!)
ネットのコンテンツの半分は英語
1つ目は、ネットのコンテンツは半分くらい英語で書かれているというポイント。
Googleのように世界中のコンテンツが検索できる場においては、日本語ではなく英語で検索したほうが、得られる情報の量と質が圧倒的に違ってきます。たとえば、プログラミングのコード情報とかをググる時「日本語ではゴミしか出てこない!」なんて、言われちゃったりするように・・・・・。
なので、英語を使って、世界の最新情報を生で、自分で、いち早く得られるというのは、今の時代とても大きなメリットです。(最近はもう、偏向報道がゴリゴリ目立ってたり、オピニオンばかりでファクトを語る、語れる人が少なかったりしますし。)
また、英語が出来れば、ネットを通じて世界に向けて発信することも簡単です。全人類にウケそうなアプリとか、世界でも稀にみる体験談とか、なんでも世界にシェアできます。
(これは逆に捉えれば、そういう知りたいことや発信するものを持たない人が、英語をやったってなんの意味もないとも言えちゃいますが・・・・・それこそ、個人の選択ですね。)
↓W3Techsのデータ (英語は53.2%, 日本語は3.6% – 2018/09/20付け)
生で・自分自身で・直接する英語体験
機械翻訳 がどれだけ完成したとしても、この価値は残るでしょう。自分で実際に英語を学んで、使って、ネイティブとコミュニケーションすることで、初めて得られる価値がある、という話です。先に書いた1つ目のポイントともかぶりますね。
で、個人的な感覚ですが、後述するような機械翻訳で、100%完璧なものが完成したとして、英語話者と非英語話者の違いは、男と女の違いくらいになるでしょう。「男に女の気持ちは分からない!」ように、機械翻訳で言語の壁はなくなったけど「日本人にアメリカ人の気持ちは分からない!」という状態になるんじゃないかと思います。
その際、重要なのは、男が女に、女が男に生まれ直すことや、日本人がアメリカ人に生まれ直すことはできないけど・・・・・
日本人がアメリカ人と同じくらい英語を習得することはできるという点です。
日本人とアメリカ人のどこが違うかといったら、結局「言語。以上。」なわけで。じゃあ、そこを「自分で乗り越えたい!」と思う人は必ずいて、とても価値のあることだと思います。
人種によって身体的な差もありますが、それ以外の部分はネイティブと同じようにその言語を習得することで、乗り越えられる差ではないでしょうか。(知らないけど)
もしもの時、日本からの脱出が楽
極端な話、「もしも日本が海底に沈没しそうな時」とか、何か有事が起きてもうどうしようもないとか。そうでなくとも「もう日本に住むメリット皆無だよね」に加えて「デメリットの嵐に立ち向かうモチベーションとなる祖国愛的な気持ちもございません」という時の話です。
そんな時「英語ができれば、海外で仕事が見つけやすくて、暮らしやすいよね」というポイントです。日本がヤバくても脱出して、生きていきやすいため、リスクヘッジとして英語を学習しておくと良い、というモチベーションですね。まあ現状「仕事が見つけやすい+単純に日常生活でも直接話せたほうが良い」という考えは、妥当でしょう。
と言いつつ、既に TOEICなんて目じゃ無い機械翻訳の進化を見ると、そのうち「機械翻訳を使えば、英語ができなくても、暮らしていくだけなら余裕!!」なんて、後者の日常生活で自分が英語を話せる必要はなくなっていく可能性は・・・・・もはや可能性じゃありませんよね。
というか、そもそも単語区切りでしか喋れなくても、生活だけなら別にできるでしょうし。「え、何この人機械翻訳に依存して暮らしてるの?」みたいな価値観の問題も、機械翻訳の実装と共に(半自動的に)解決されていくでしょうし。
・・・としても「良い仕事を見つけて上手くやっていきたい!」とか、ある程度ラグのないコミュニケーションの実行が必要な状況なら、機械翻訳に依存したままだと流石に厳しいのかなとは思います。
というところで、世界で仕事が見つけやすいというモチベーションは残りそうですね。まあそれも「共通語が英語だから〜」という話になってきますが。
「英語学習は必要ない」方向のポイント
次に、Cons方向のポイントです。
母国語が廃れれば、母国の文化も廃れる
「国力」的な文脈ですね。
実際、今の近代社会が出来上がるまでに、たくさんの民族が淘汰され、言語が失われ、文化も失われたわけです。というか、現在進行形でまだまだ消えていってるわけです。
ただ、これ自体が「故に日本人は英語を学ぶべきではない」という話に直接繋がるとは、あまり思いませんが。教育とか、人間とは?みたいなポイントのが重要ではないかと。
世界や社会の仕組みが変わっていくのと同時に、個人の価値観とか、精神性も変わっていってるわけだしなあ、みたいな。最近は特に近代的な個人は幻想だった〜みたいな文脈が生まれてきてるわけで、そこを無視せず考えると、個人の英語学習と、国力云々はあまりに遠いかなあ、と。
なので、とりあえずは言葉と文化は密接に紐づいているという事実以上の何かを認識する必要はないのかなあ、と。まあ、世の中には誰かを取って食ってやろうとする悪い人もいるわけで、英語帝国主義とか植民地化とか、そこらへんも考えなきゃいけないと思いますが。
英語の熟練度による階級格差、差別
全員が英語を学ぶ社会になると、英語が出来る前提の社会システムになっていき「ああ、この人は英語があまり上手くないから、仕事のランクも低いだろう」といった階級格差的な差別がされるようになる、というようなポイントです。これも「国力」うんぬんとよく絡みますね。
これは何も怖がりすぎではなく、実際にそういう状態になっている国が結構あるから、日本にそうなって欲しくないとの思いで言われることのようですね。詳しくないので、どことは言いませんが。
まあ、割と世界では「英語 with 母国語」前提みたいな社会システムになっているところがあるんだと思います。その点日本は結構必要とされる情報がたいてい、日本語で手に入るという特殊な国だったりするんですね。大学以降の学問を学びたいなら、母国語じゃない言語を使わないといけない、という国は死ぬほどあるわけですね。
差別まわりだって「英語だから〜」とかで語れる問題ではありませんから、事実として、可能性として認識しておく以上は必要ないと思いますが。格差の問題についても、デジタルネイチャーとか、社会システムも変わっていくだろうし。世界共通語うんぬんもありますし。まあ、ここらへんの視点を持って一度、世界を見て回りたいなあ、なんて思いますね。
「英語学習する必要性」まわりの、関連情報
「必要ある、なし」のどちらに分類するでもなく知っておいたほうが良さげ情報のゾーンです。
楽天やユニクロなど、社内の公用語が英語
「日本にある会社で働くぞ!」と言っても、その会社の公用語が英語の可能性もある時代ですね。楽天やユニクロは社内公用語英語化宣言からもう7年以上経って、社員の英語力が向上したり、海外からの人材が集まったり、英語教育産業に参入したりと、色々なニュースを聞きますね。
小学校で必修&教科になる英語
2020年には大規模な教育システムまわりの改革が予定されていて、大学入試での英語の民間試験の成績提供システムもニュースになっていますが、小学校でも改革があります。小学校での英語が、3年生から必修になって、5、6年生から教科になるというものです。
教科になると成績表に成績がついたり、中学受験には当然英語が入ってきたりと、色々な影響が見込まれています。HACKengとしては、正しい英語学習じゃないならどれだけ早く教え始めても無駄なものは無駄だと主張しておきますが・・・・・
とりあえず「音」にフォーカスして、日本語を排除して学んで欲しいところです。クリティカルエイジとかありますから、早期教育自体は良いことだと思いますが。音くらいコアな部分のみに抑えておいて、先に国語や数学をよく教える時間に使って欲しいですね。
機械翻訳の現在
2018年現在、Google翻訳、VoiceTra、ポケトークといった機械翻訳は、精度の高いものに進化しまくっています。試しに使ってみるとわかりますが「英語←→〇〇語」での翻訳は・・・・・もう、便利ですね。
「日本語を英語にして、それを中国語にして、日本語に戻す!!!」とか「話し言葉の極致(=普通に誤った日本語)!!!」みたいな意地悪な使い方をしなければ、もうなかなかに自然な文章に翻訳してくれます。
ただ、まず(今、一般の人が使用できる)これはディープラーニングと膨大な翻訳データのなせる技だったりします。翻訳結果(覚えさせた対訳)を出してもらうもの(の延長)であって、機械に言語を学習させているのではない、ということです。
英語学習の全体像の時にも触れましたが「完全な文法」って、解明されていないんですね。故に文法を教えて、言語の仕組みを学習させて、翻訳できるようにするというやり方はできず、言葉の意味は状況にしか存在せず・・・・・・
(機械翻訳の業界では、第一世代で文法による言語学習が不可能っぽいことを確認し、第二世代、第三世代では統計情報とディープラーニングを使って、翻訳の精度を上げることに成功したという流れだったり。)
なんて流れがありつつ、もう少し進んだものとして英語から画像を生成して、その画像を日本語で描写する(つまり言葉の意味が存在する”状況”を間に挟む)とかいうのがあるわけですが、そこまできていよいよ「機械が言語を学ぶ!!!」ゾーンに突入したと言って、然るべきかもしれませんね。(2015〜2016年頃に「あと10〜15年」みがあったとか、なんとか。)
そんなこんなで、我々一人の学習者としては、上述の全てが翻訳の話であることだけ、勘違いのないようにしたいですね。つまり翻訳のためではなくコミュニケーションのために学ぶのであれば、そこに価値があるよね、という原点。ふりだし。
もちろん、そのうち「怒った風に、けれど優しく、好きだという気持ちを込めて、大っ嫌い!」なんて機微まで、映像から翻訳できるという話にはなるでしょうが、どこまでイっても自分でやる価値が残るよね、と。
技術が完成することと、それが全ての人に安く広められるのとは全く別の話で、下手したら水道みたいなインフラでさえ、高いお金を払わないともらえなかったりするわけですし。誰かに翻訳してもらった情報のみを得るのか、自分で取りに行くのか・・・・・・という構造は、機械を使おうが変わらないはずです。
あるいは、そうした機微とか「間違ったことを平気でやっちゃう!!!」みたいな、人間の不完全性にこそ価値を見出してきたわけで「ニューラル機械時代の人間と、人間の文化はどうなるの〜!?」とか、そういう話にもなってきたり。その先に何があるのかなんて誰も知らないし、知らないからこそやるわけですが・・・・・・
少なくとも、今あなたが機械翻訳恐怖症に罹患して英語の必要性うんぬん言っているなら、無駄です。治しておきましょう。
「話せない」けど「書ける」日本人
大学教授などが「普段は全然話せないけど、論文ではとても端正な英語が書ける!!!」みたいに言うのを、たまに見かけますね。
これについては「論文は形が決まってる」×「日本の教育システム」×「正しい英語学習」などと絡み合った話題だなあって感じですが……….英語学習の必要性というトピックの1つのポイントとしても、参考になるでしょう。
「日本語力」というか、日本語で思考する力があれば、「日本語→英語」とゲームのソフト(カセット)を入れ替えるように、英語でも思考が出来るみたいなことで。
まあ、要するに「あなたが、今、本当に、英語を学ぶ必要ある?」という話です。そんなことより日本語で、日本の中でもっと色々やらないと………….、「ねえ、順番おかしくない?」と。(もちろん、発達途上の年齢でなければ両方同時にやって差し支えないと思いますが。)
今回の記事を通して「必要性」の総括
最初にも言いましたが、今回紹介したような人類全体の視点とあなたが英語をやりたいかどうかには、何の関係もありません。ただ、あなたの行動が世界を作っているのも事実で、忘れてはいけない、ということです。
あなた自身と、向き合いましょう。
英語アレルギー・日本人訛りコンプレックスは必要ない
日本人訛りアレルギーというか、恐怖症みたいなものに罹患しているなら、今すぐ治しましょう。
↑発音・リスニングのルールを学んで・・・・・
↑オンライン英会話とか・・・・・・
Youtubeを使って、実践!
英語はツールであって、外の目的が必要
HACKengで主張しているのは、結局「英語はツールであって、目的ではない」ということです。基本的に日本人には日本という母国があって、日本語という母国語があるわけで。あなたは、試験で高得点を取ることではなく、英語を使って、知りたいことを知って、伝えたいことを伝えることが目的になっていますか?
今回紹介したポイントや、他の記事を参考にして、今一度あなた自身が、英語を学習する必要性をよく考えてください。英語学習をやりたいと思うなら、好きなだけやるべきですが、やりたくもないのに、無理にやることではありません。
日本では、もはや英語なんて、創造力のないバカが学ぼうとするものなんて言い方もされます。あなたがそのバカになっていないか、今回の記事を通して、よくよく考えてもらえたなら、幸いです。
「英語やる前に、やることあるでしょ」なんて批判をする必要がなくなるように、国語やって、数学やって、科学やって、歴史やって、文化やって、政治やって、経済やって…..、その中で本当に英語学習の必要性を感じた時、英語を学べば良いでしょう。
日本はそれができる、恵まれた国です。日本語という素晴らしい言語と共にあります。
その時にこそ、HACKengでまとめている英語学習情報が、役に立てば良いと思います。
と、言いつつ・・・
と言いつつの。
「英語」の「学習」って、そんな身構えるほど難しいハードルかということは、よく考えるべきでしょう。
別に「ネイティブに非ネイティブだと気付かれず、あまつさえ頭の良いネイティブだな?とまで思われる英語力!!!」とか「自分の感情と英語が、完全に紐づいた状態!!!」とかではなく、たとえば「英検一級!」とか「TOEIC満点!」とか、そういうレベルの目の前の目標を達成することが、です。
↑という本質を、こうした記事で解説していますので・・・・・ぜひ、困った時は立ち返ってみてください。考えれば考えるだけ、悩みは小さくなったりもしますから。
それでは、みなさんの英語学習に幸あれ。
幸あれ
おわり。
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